文科省は社会人を留学させたくないのか? (多分)高校の成績が捨てられたせいで志望校に落ちた話
義務教育を終えたら高校、専門学校や大学、そして就職・・・と「望ましい進路」から外れずに生きていれば何も問題ない(その「普通」もどんどん困難になっている現状ですけどな。)、しかしひとたびそこから外れると想像もしなかった罠がしかけられているのが“普通”至上主義のニッポンなのだと思い知らされたぜ。
つまりだ。高校の成績は卒業後5年で捨てられる。*1
以前は卒業等の学籍に関する記録と共に20年間保存されていた高校の成績は、大学に行った場合には大学卒業後1年、浪人や留年をすれば大学在学中に捨てられてしまう。それは平成三年(1991年)の文科省省令によって指示された。
何らかの理由で大学に行けなかった人が、6年後かそれ以降に大学に行こうとする場合、もしくは何年か働いた後に留学しようと思い立った場合、その不利益についてどう考えてそのような省令を発出したのか?
学籍に関する記録は以前と同様に卒業後20年保存されるわけだが、成績をそれと一緒に保存することはそれほど困難で甚だしくコストがかかることなのだろうか?
仮にそうだとしても、「生涯教育」だの「リカレント教育」だのと言うなら、高校の成績くらい保存しても良さそうなものだ。まあ生涯教育などというお題目も、人口ボリュームゾーンのリタイア世代に大学の市民講座などを受講させたいどこかの人々の思惑でしか無いのかもしれないが。
と、くどくどと言ってみたところで結果は変わらない。大学を卒業してから数年働いて資金を貯めて、ドイツ語を勉強してドイツの大学に応募した。その中で第一志望だった大学は高校の成績の提出を求めてきた。わたしは「成績不発行証明書」*2を送付し、事情を説明した。その結果、再三メールや窓口に並んでの進捗確認を行ったにも関わらず3ヶ月以上待たされ、新学期が始まって2週間が経過しようという今、通知を受け取った(これはこの大学のオペレーションがクソなだけではある)。
曰く、
Thank you for your application and the enclosed documents. We regret that we are unable to accept your application, as the Admissions Committee/Examinations Board of the relevant department has found that you do not meet the academic requirements.
Reason / Additional information: inappropriate educational background
(要約)入学審査委員会はあなたの入学を許可できません。理由:不適切な学歴
ドイツの大学には入学試験は無い。人気だったり高い水準が求められる医学部のような学科では「入学制限」といって成績や志望理由書、面接等の選抜があるが、そういった制限の無い学科では基本的に求められる書類を提出すれば入学は許可される。*4
今までにまったくやったことが無い専攻だろうが何だろうが関係ない。実際、私の志望していたコンピューターエンジニアリングの学科に既に入学許可されている外国人の学生は出身国では政治学科だったり文系出身者は普通に居た。
というわけで、わたしは高校の成績が無いことが理由であろうと考えている。*5
So, is this what Japanese government wants?
不許可を食らった大学はDuisburg-Essen大学 のISE (International Study of Engineering)コース。このISEは1年目の授業が全て英語で留学生が6割くらいの、その名の通りインターナショナルな学科だが、各国の特殊事情は加味できないようだ。ISE以外の学科はuni-assist(脚注参照)を通して行われるため、高校の成績が無くても多分大丈夫。ちなみに、獨協大学と提携していて毎年留学生が来ている。
というわけで、わたしは抜かり無く用意しておいたプランBを採用し、別の大学に行きます。