第七官界彷徨記

文科系アラサー、エンジニアになるためドイツでまた学生はじめました。

都市部の電車の中のあの雰囲気が性犯罪や迷惑行為の温床だと思う。

わたしはドイツのルール工業地帯で学生をしているのだが、その前は東京で会社員をしていた。日本での大学時代にはアメリカに交換留学に行ったのと、カナダにも1ヶ月ほど滞在したことがある。

その限られた経験からでも言えるのが、都市部の電車やバスのかなの雰囲気が痴漢やそのほかの迷惑行為を野放しにする原因じゃないかということ。原因とまではいかなくとも助長する要因としては大きいと思う。

 

というのも、わたしが今まで滞在した国では、公共交通機関の中で隣の人に話しかけるのは普通のことである。席に荷物を置いている人にも「ここ座っていい?」と話しかけて座るし、普通に空いてても声をかける人もいるし、「今日は暑いね〜」とかバスだと「この運転手、運転荒くね?」とか雑談もする。

バス通学をしていると、後ろの方の乗客が降りきる前に後方ドアが閉まってしまう時があり、「もう一度ドアを開けて〜」と言って運転手に聞こえていないと、近くの人が「ドア開けてって言ってるよ」と口々に言って運転手に伝えてくれたり。

そういう状況だと自然と振る舞いもかわってくる。というのも、近くにいる人が話しかけてくることは普通なので、音楽を聴いていても日本のように「完全閉店状態」にはならない。何かあったら反応しなきゃいけないから。そして今にも話しかけてくるかもしれない人に対して失礼なことはしにくい。困っている様子の人や具合が悪そうな人がいたら必ず誰か気付くし、誰か一人でも声をかければみんな「どうしたどうした」と参加してくる雰囲気だ。

日本の都市部、特に東京では誰もが電車やバスの中で他人に話しかけることは基本的に無い。そういう相手だからもうパンパンな車内に体を押し込んだり、ぎゅうぎゅう押したりできるんだと思う。相手が普通に挨拶したり話したりする対象であることを認識する回路を切っている。それはやはり人が多すぎて混雑しているから、一人一人の人格を認識するのが人間の精神の仕組み的に難しいのかもしれない。

以前ツイッターで、同じ幼稚園の子供の保護者で後ろ向きにずれたり物を運んだりするときによくぶつかってくる人がいたが、一度話してお互いを認識した後はぶつから無くなったというつぶやきを見た。つまり、知ってる人以外は認識せずに動くのでぶつかってしまったということなんだろう。

こういう距離感だから、性犯罪やその他の迷惑行為が起きていても「完全閉店状態」の人たちに囲まれて被害者や迷惑行為に気づいた第三者は萎縮して声をあげにくいし、あげても誰も加勢しないという事態になりやすいのだと思う。そこには女性の訴えを軽く見積もるというジェンダーバイアスも大きく関わっているけど、まず公共交通機関での他人を人間として認識しない雰囲気が異常だといことは一つ言えるのでは無いかと思った。