第七官界彷徨記

文科系アラサー、エンジニアになるためドイツでまた学生はじめました。

日本の医療は先進国ではレベルが低いらしい

 

以前下記のようなエントリーを書いて、「なぜ日本の医療費は安いのか?」という話をしていました。

理由はいくつか引用しましたが、ざっくり言うと人が足りてないらしい。しかし、それでも日本の医療の質(レベル)は先進国水準(しかも高い方ではないか)と漠然と考えていたのですが…、どうやら違うみたい。

 

 

fsense.hatenablog.com

 

日本は世界の最長寿国であり、医療のレベルは高いに違いないという思い込みがある。しかし、がん患者の5年生存率を地域がん登録データで日米を比較すると、米国白人は65%に近いのに反し日本人は40%台であり、過去約30年にわたり15~30%も低い。人種差やがん腫の差というよりは、医療レベルの差によることはすでに報告した。*

 

*山下正徳:日本におけるがん臨床試験の活性化と研究基盤整備は何故必要か―がん治癒率工場のために―. 癌の臨床 2005 ; 51 : 589-615

 ――臨床試験のABC (日本医師会生涯教育シリーズ) 

 

仕事関係で読んでいた、「臨床試験のABC」日本医師会編(2007年) に上記の記述があり、「え、そうだったんだ…」と思った次第。

 

無意識に「だいたいの分野で日本はスゴイ!」と思ってたのが実は違ったという事案が頻発しているのに、やはり心のどこかで「日本はスゴイ」と思ってしまっているようだ。

 

生存率が65%と40%台じゃあかなりの違い。医療レベルといっても町医者の風邪や怪我の治療じゃなくてがんだし。生きるか死ぬかだし…。

これはがんの話ですけど、がんは日米での死因ナンバーワンなので、重要な分野。その他の分野では断然レベルが高い!ということも無さそうに思える。

 

日本みたいに、お金持ちじゃなくてもそこそこお手頃な価格で、微妙なレベルの治療を受けられる社会か、アメリカみたいにお金を出せば高度な治療を受けられるけど、貧乏人は病院に行くことすら断念、という社会か。

 

うーん。何とも言えないけど、「命のお値段」を突きつけられるようなアメリカ型はやはり問題だと思うなー。日本型で医療レベルを上げられたらいちばんなんだろう。

 

ただ、日本式は治療や薬について一般人が知らなさ過ぎて専門家のいいなりなのは良くないと思う。米ドラマなんか見てると、「アスピリン持ってる?」とかは日常語彙だし、エリート高校生はDexedrine(ADHDの治療薬)飲んでテスト前に追い込みするし。日本じゃADHDだってそこまで知られてないのに。その辺の意識の違いはマイケル・ムーアの映画『シッコ』なんかにもよく出てますね。

 

民間保険の適応範囲もいろいろだから、歯科治療なんかでも日本よりかなり幅広い治療が選べるみたいです。

 

医療に限らず、日本ではサービス側が「こちらで全て判断してやってあげますから、言うとおりにしてください」という態度が一般的。客は何も考える必要がない。売る側と買う側の情報格差が大きいと、客が損するのが市場の常識だけど、「暗黙の合意」によって日本は今まではそこまで大過無くやってきたわけ。ただ、資本主義の荒波に洗われて、その合意は崩れてきているのに消費者はまだ思考停止状態っていう感じ。

 

うーん?日本の医療レベルが低いという話だったんだが…。ま、とにかく与えられた選択しに満足せず、多くの選択肢を持ち、自分の選択に責任を持てる消費者になりましょう!という話でまとめることとする。