第七官界彷徨記

文科系アラサー、エンジニアになるためドイツでまた学生はじめました。

ソフトウェアが糞だと得をするのは誰か

ひとことで言うと:業界標準になっているシステムやソフトウェアが複雑で使いにくいほど、既存のプレーヤーが得をします、という話。

考えてみるとこういう話はごろごろ転がっているのだが、たまたま読んでた複数のブログで同じ意味のことが書かれていた。

 

 

アメリカでプロジェクトマネジメント!: アメリカで武者修行 第34話 それこそが職の保証なんだよ

 プリマベーラというのは、この業界のスケジューリング・ツールとしては王者の地位に君臨していて、マイクロソフト社の「プロジェクト」を自転車とすれば、最新鋭の戦車に喩える人もいるくらいの怪物プログラムです。こんな短期間で習得出来るとはとても思えません。

(中略)
プリマベーラか。悪名高いプログラムだな。俺も何度か挑戦したけど、あのソフトは滅茶苦茶使いにくいよ。残念だけど、俺には何もしてやれないな。」

(中略)

「いいかシンスケ、それこそがジョブ・セキュリティ(職の保証)なんだよ。そうは思わないか?もしもプリマベーラがユーザー・フレンドリーで、誰にでもスイスイ動かせたとしたら、俺達スケジュラーの大半はたちまち失職だ。もしも使いにくい機能に出会ったら、そのたびに心の中でサンキューと唱えるべきなんだよ。それをひとつマスターする毎に、業界での君の価値は確実に一段階アップしているわけだからな。」

 

日本で資格は取るな - Willyの脳内日記

私が金融機関で働いていた当時、
金融機関にはブルームバーグが作った
鬼のように使いにくい情報端末があった。
しかし情報量が圧倒的だったので使わざるを得ない。
ただ単に使いにくいだけなので、
慣れれば特段頭の良くない人でも使いこなせるようになるが、
特殊な部署に長くいる人でないとそうはならないから
ノウハウを持った人が非常に限られている。
結果、大したスキルでもないのに、
ブルームバーグ端末を使いこなせると
簡単に良い仕事が見つけられるそうだ。

 

かたやプロジェクトマネジメント(日本ではあまり聞かないけど、資格もあり米国では専門的な職能だそうです)、かたや金融。

 

Willyさんの記事に出ている「ブルームバーグ端末」、調べてみたら、学校で「教えるよ」と言っているところが一校だけ検索ヒットしました。

大学の経済学部などで利用できるところがあるのかは不明。普通は入社してから覚えるものなのかもしれません。

 

ある(使いにくい)システムが標準となっている仕事がある場合、そのシステムを使いこなせることが採用条件だったりする。そうすると、そもそもその業界で働いていた人か、学校でそのシステムを使っていた人でないと応募すらできない。その仕事が特に難しくなかったとしても。

 

ブルームバーグ端末が入社した人しか習得できない場合、

1)まず入社できる学歴などが必要

2)新卒や中途採用の「ブルームバーグ端末」未経験市場でほかの候補者を制して採用されることが必要

3)入社してやっとブルームバーグ端末の使い方を習得

4)業界で転職ヨユー!

 

ということになるわけですね。。。

この例でいうと、「ブルームバーグ端末」の使用経験が参入障壁になっていることを知っていて、なんとか習得の途をみつければ少なくとも2)が回避できる。

 

(無駄に)複雑で難しいシステムを使うことが参入障壁として機能し、職の安定に寄与しているのねー。設計やデザインなんかでも、UIが簡単で素晴らしいソフトが出てきたが、そういう職業利権問題で普及しないんじゃないか・・・という話もどこかで聞いたな。

いかにすれば競争を回避して無駄な労力や
リスクを減らして本質的なことに集中できるのか?

そのためには、
・自分の情報のアドバンテージを認識すること
・自分の情報のアドバンテージを活用すること
・他人の努力していないところでこそ努力をすること

が大切だ。

 

一部の人間にしか手に入らない情報を探すべきだ。

―― 日本で資格は取るな - Willyの脳内日記

 

とはいえ、そういう情報にたどりつくことは難しい。理系大学生でもない平凡な能力の人間ができることといったら、こういうブログなどでぽろっと出てくる話を目ざとく見つけて深堀りしたらたまにはヒットが出るかも・・・というくらいなものか。

 

なんにしろ、こういう参入障壁があることを知っておくのは悪くない。アンテナを立てておくという気構えだけでも、ね。